STORY
あざみ(小篠恵奈)は恋人のシン(嶺豪一)と別れ、バイトもクビになった。各駅停車を乗り継いで、海沿いの町に暮らすマミさんを訪ねる。17歳で家出して、劇団に入ったあざみをかわいがってくれた憧れの先輩。久し振りに会うマミさんは、作家志望の恋人を支えるために、夜の女になっていた。
マミさんと出会った頃。あざみの恋人は倍近く歳の離れたキタジマさん(斉藤陽一郎)だった。1人で出版社を経営し、いつも仕事に追われている。あざみは仕事優先の彼に、片思いのような空しさを募らせていた。知らない町のビジネスホテルで時間を持て余し、キタジマさんに電話をかけながらあざみは眠りに落ちていく。
東京へ戻った。寂しさでパニックになり、あざみはシンを呼び出して体を激しくむさぼる。彼はそんな心を見透かし、「いない人のことを考えている」とホテルの部屋を出て行った。
新しいバイトが始まる。前科者でバツ2のリーダーと、あざみを意識しすぎて挙動不審になるノダくん(奥野瑛太)の3人1組で、毎日、ビルの清掃に向かう。
あざみの母親(片岡礼子)は、男と別れては自殺未遂を繰り返す激情の女だ。あざみと兄は幼い頃から死と愛を行き来する母に振り回されてきた。懲りずに入院騒ぎを起こした母を見舞い、あざみは気が重くなる。母は死ぬほど男を好きになれるのに、自分は……。
あざみはノダくんと初めてセックスをする。ぎこちない彼に抱かれながら、キタジマさんとの思い出に耽るあざみ。「いない人のことを思わないで」ノダくんは暴れ出した。「あざみさんの役に立ちたい」と子供のように泣く純粋な彼は、あざみには重たすぎる。
母の葬儀が終わり、夢にキタジマさんが現れた。冷たい海に向かう彼と、泣きじゃくりながら引き留める自分。なにかの予兆のような夢だった。過去の恋に執着していたあざみに、変化の時が近づく。


